オルゴール - 1/3

「オルゴールアレンジアルバム、ですか……?」

信じられないと目を見張る陽介ようすけに、大手レコード会社の重役は「そうよ」と言った。

「あなたの作曲の才は素晴らしいわ。埋もれているのが本当にもったいない。もっと世間に売り出すべきよ。
その第一陣企画として、今まであなたが手掛けてきた曲から厳選した十五曲を、オルゴールの音色に編曲して、うちから出すわ」

素晴らしい才能。埋もれているのがもったいない。世間に売り出すべき。
今まで言われたことのない賛辞に陽介の心は昂った。その勢いのまま「ありがとうございます!」と思いきり頭を下げる。

「本当に嬉しいです。アルバムが売れれば、もっと『リヒト』が多くの人々に認知されますよね。
ファンが増えてくれると、僕らの夢が広がります。ぜひ……」

お願いします。と言いかけたその時、重役は「そのことだけど」と陽介の言葉を遮った。

「この話を受けてくれるなら、条件として、あなたにはアイドルを卒業してほしいの。
代わりにうちの専属作曲家として雇うわ。悪い条件じゃないでしょう?」
「……は?」

頭から冷や水を浴びせられたように、陽介は何も言えなくなってしまった。