「そうか。なら、君はなぜ、また飛べたんだろうな」
11月3日、ライカの命日に寄せて
【シナリオ全体の話】
嫌疑を免れるべく事件捜査に乗り出す冒険者。この時点でどう考えても好き
役割設定は参謀(必須)とマスコット(任意)だけなんだけど、たまたま一周目でいつも盗賊をやってくれているPCが大活躍をしてくれ、大変美味しかったです。参謀の懐刀的な盗賊大好き
推理パートの作りが『Mimic』や『知のけもの』シリーズのような、ミステリ調の参謀主人公シナリオに似た作りでとても良い
興行団が関わってくるあたり、『顔泥棒と紛いのサーカス』を彷彿とさせるし、シティアドという意味では『旅の芸人一座』も近いかも
推理が苦手でも、歩き回って情報さえ集まれば後は勝手に参謀が推理を組み立ててくれるシナリオの作りが、ミステリの雰囲気は好きなんだけどな……というプレイヤーにとても優しい心遣い
ミステリ慣れしてるプレイヤーとしては、参謀と答え合わせをしながらプレイできるのが嬉しかったです
キャスト絵が小此木さんで統一されているのがすごい良くて……このかたのキャスト絵、めちゃくちゃサーカス系シナリオと相性良いんですよね……『人喰いサーカスの魔』とか……大好きです……
夢のような非日常の世界が織りなす楽しいひと時、物悲しさと華やかさを等分に含んだ特別な一夜に、本当によく似合うキャスト絵ですよね
水雲さんは本当に、既存のエピソードや花言葉などからシナリオを紡ぐ手腕が優れていて、それでいて作中のテキストや設定は全くわざとらしくないのがどのシナリオも絶妙なさじ加減で、
今回もあとがきを読んで「そういうことか!」と気づくことが多々ありました
団長の「われらは野良犬ではなく猟犬でありたいのです」という比喩が大好きなのですが、改めて全体を熟読してみると他のテキストにも犬を彷彿とさせる比喩が多いことに気づき、舌を巻きました……お見事すぎる……
↓ここからネタバレ↓
シナリオを進めていく中で割とすんなり犯人の目星はついたのですが、彼女が手足を失った理由に絶句してしまいました。なんて奴や……!!
無抵抗の無邪気な子供を犠牲にしたというだけでも許しがたいのに、その子の手足をもいで、その上で存在を隠匿するとは……畜生の極みすぎる……
そんなこんなでわたし自身は滅茶苦茶ラフカに同情したのですが、うちの参謀が全く同情しなかったため、一人で彼女の悔しさと悲しさを思ってしょぼくれていたところに、元ネタのwikiを読んでベショベショに泣いてしまいました
ライカの存在については、知識としては知っていたものの、詳しいことは何一つ知りませんでした
検索したら一番最初に出てくる、小さなキャビンの中で無邪気に笑うライカの写真を見て、本当に悲しくなりました。何も知らない無抵抗の小さな命を、人間の勝手で見殺しにしたこと。本当に惨たらしくて罪深くて、可哀そうで、今日の文明の発展が彼女の犠牲の上に成り立っていることを、決して彼女の存在を忘れてはいけないと強く思いました
このシナリオを遊んでいなかったら、この尊い命についてこんなに思いを馳せることは無かったと思います
彼女について知るきっかけをくださったこと、本当に感謝してもしきれません。ありがとうございました
興行団のテントの中にいるムトニ(あえてこう呼びたい)が、仲間のことを話すときに本当に幸せそうだったことと、
「彼女の公判を皆で見届けるのがせめてもの償い」だときっぱりと言った団長の頼もしさが、何よりも印象的でした
決して仲間を見捨てない猟犬たちの結束の固さは、犬ぞりの犬たちにも通ずるものがあるのかもしれないな、と思ったりしたのでした
この10年、誰よりも身近にいた彼らだからこそ、彼女の胸の裡を本当の意味で分かってあげられなかったことに、もしかしたら罪悪感もあるのかもしれないけれど、本当のところは部外者である冒険者たちやプレイヤーには分らないこともまた事実で、
でも彼女が罪を償い終えたその日には、また温かく迎え入れてあげて欲しいなと思いますし、願わくば彼ら全員が揃っての興行をまたどこかで目にする機会が有ったらよいなあとも思います
四肢を失ってもなお、厄介な巻き毛をあの長さまで綺麗に伸ばして結わえることができるのは、他でもない彼女の大切な仲間たちが彼女を大事に思っていてくれるからで、それは紛れもなく彼女と興行団の仲間たちの固い結びつきの象徴で、そんな風に思うから、わたしは彼女の巻き毛がとても愛おしくて大好きです
【自宿の個人的な話】※自己解釈を多分に含みます!
久我有加先生作/『芸人シリーズ(新書館ディアプラス文庫※商業BL)』のキャラクターたちで二次創作している延長でCWでも遊んでおります。早い話が二次創作宿です
今回は、参謀/主役が時田(『恋で花実は咲くのです』/攻め)
一周目で恋人差分を見損ねたので、二周目にて芝山(同作/受け)と恋仲設定にして突入
他のメンバーは、マスコットに深野(『片恋の病』/攻め)と由(同作/受け)と『愛だ恋だと騒ぐなよ』の二人(町、祐)で計6人
・参謀の話
シナリオ全体の話で少し触れたのですが、参謀を時田にしたら、この男は全くラフカに同情しなかった!
時田、原作でめちゃくちゃ厳しいキャラとして描かれていて……
若手芸人の登竜門と位置付けられている劇場の支配人であり、この人が楽屋に顔を出すだけで空気がひりつくぐらい、冷徹で非情で厳しくて仕事が出来る人
『知のけもの』シリーズや『Wolf’s Night』や『天空には楽園があった』『碧落飛翔』『風のレゾナンス』でも参謀を務めてくれており、
『暗殺者達の夕べ』では先輩役をしてくれました
指揮能力があり、『良き隣人たちの商店街』でフィアナの騎士に選ばれました
そんなわけで、例えあのラフカの境遇を知ったとしても、全く同情する姿が想像つかず、割とすぐに「同情しない」と言ったのですが、
「同情はしない」と言っておきながら「なんでおまえはまた飛べたんやろうな」なんて言うものだから、そこに確かな優しさを感じてしまって、死ぬかと思いました……
徹頭徹尾軽蔑することだってできたはずなのに、なんでそんなことを言ったのか
そう考えていくうちに、もしかしたら時田は「同情できない」のではなく「同情してはいけない」と自制が働いたのでは……?と思い至りました
時田は芸人ではなく、芸人を支える事務所の社員なので、その表現としてCWでは『悪役』に徹してもらってます。『影から英雄(芸人たち)を支える人』という意味合いで
それ故にここに至るまでも、英雄たちのを栄光を守るための悪役として、たくさんの汚れ仕事をしてきました
だからラフカに対して、「ここで同情してしまったら『悪役』に徹するこれまでの自分の生き方を否定してしまう」と、思ってしまったのではないかな……
原作でも本当に『仕事人』という言葉が非常に似合う時田なんですが、
本来の性格は、感動屋で情に厚く、割とすぐに泣くヘタレ攻めであることも、しっかり明記されてるんですよね
それこそ芝山との初デートで見た家族ものの映画に、芝山がぎょっとするぐらいに号泣してる
そしてそんな自分自身を「情けないけど、これがほんまの僕やねん」と苦笑している。そういう人なんですよね
仕事だから。芸人たちを心から支援したいから。そういう、思いやりの裏返しで、厳しい態度を取っている。心にもない賞賛を紡ぐことの残酷さを何よりも知っている。だから多少厳しくても正しい事を正直に言う。そういう強さと優しさがある人
だから今回のラフカについても、下手に同情してしまうことは果たして彼女の為になるのかと、ブレーキを踏んだ形になるのではないかな
ラフカにとって一番の不幸は、恨みを抱けるほどには物事の善悪と自分の不幸を理解できていたことと、それをそのまま復讐心に変えてしまい暴走してしまったことなのではないかとわたしは考えていて
そこが元ネタであるライカとの決定的な違いだな、と思います
そしてそれこそが、時田が同情しなかった一番大きな理由なのではかな……と
ラフカがとても賢いことはシナリオ中にしっかり明記されているし、犯人の情報を集めていく最中で時田も間違いなくそのことに気づいている
だからこそ、賢い彼女が復讐を踏みとどまれなかったことこそを時田は嘆かわしく思うのかも知れなくて、
10年越しに還ってきて、大きくなりすぎた彼女は重量制限で飛べないはずなのに、それでもトープ初号機が彼女を乗せて飛んでくれた意味を考えさせることで、自らを顧みて欲しいと思ったのかも知れなくて、
そして同時に彼女にはそれができる聡明さがあることも確信してるんだよな
「何も知らされんと殺された犬とおまえは違うやろ」って
……そういうことに……していただけませんか……大変に都合の良い解釈をしていることは十分承知なのですが……ライカのwikiを読んでベチョベチョに泣いてしまったわたしとしては、そうであってほしい、そうであってくれと、願わずにはいられなくて……
そしてそう考えていくと、恋人であり、『暗殺者達の夕べ』での後輩であり『Mimic』で参謀だった芝山とも通ずるところがめちゃくちゃ有るんですよね……
だから芝山は時田のことが好きなのだと思うし、その好意の根底にあるのが時田への揺るぎない尊敬の念であることにも、とても納得します
街を丸ごと潰すような勢いだったにも拘らず、興行団が滞在している公園の向こうへは砲弾を降らせなかったラフカが、また再び仲間たちと共に星々をめぐる旅ができますように
時田もきっとそう願ってくれていると信じています
・他キャラの話
一周目で見損ねた恋人差分、二周目で見れて最高でした……!
芝山は、めちゃくちゃ仕事が出来る時田の「右腕」と称されているので……二人揃ってとんでもなく仕事が出来るんですよね、このCP……
なので、時田をサッと庇いにきたのも最高でしたし、
「危なくなったら呼べって言いましたよね?」「芝山君は来てくれるて信じてたから」ってやりとりも最高すぎた……あんまり人前でイチャイチャするイメージが無い二人なので、恋人差分は大概他のCPに担当してもらうのですが、こういう信頼感が感じられるやり取りだとどのCPでも違和感がないのが嬉しい
と言いつつ、一周目恋人差分設定しそびれた時に飛んできた町とのやり取りも好きでした……!
町は殆どのシナリオで盗賊をやってくれているので、今回も勘の鋭さを発揮してくれて嬉しかったです
興行団の荷物をしれっと漁っちゃうところとか……流石すぎた
マスコットは選出必須だとかなりキャラを選ぶ印象が有るので、難しいな……と思ってしまうんですが、
今回は任意設定なのがありがたかったのと、「ボケ担当」としっかり明記してくださっていたおかげで、喜び勇んで深野を選出
ボケボケさんかと思いきや、一芸を披露してラフカの気を引き付けるという大役を、それも劇場の支配人である時田から任命されての抜擢というのが本当に美味しかったです
物ボケでもしたのかな……それとも由(相方)と一緒に漫才を披露したのかな……いろんな可能性を考えてニコニコしています
由と言えば、深野と『誰そ彼の影法師』にも行ってるので、さり気ない差分会話に笑いました
お人好しリーダーなので、それっぽいセリフを担当してくれたのも嬉しかった
祐は豪傑型戦士なのにシナリオによってめちゃくちゃ頭脳担当セリフを担当してくれることがあるキャラなんですが、今回もちょっとその感じがあったかな……おそらくランダム選抜だと思うのですが、特に一周目で時田とよく推理の答え合わせをしてくれていた印象
そんなこんなで、全員にそれぞれ見せ場があったのがとっても楽しかったので、この六人で突入して良かったなあと思いました!二周して一周目と二周目で担当するセリフが違うところも多々あったので、スクショたくさん撮って見比べてニコニコしています
と言いつつ、大好きなシナリオになったので、また全く違うメンバーでも突入してみたい……!
今度の参謀はラフカに同情してくれますように……!!!
2024/11/3 公開
2025/8/11 ふせったーより転記


