その名前

ワールドカップってどんな大会なんだ?

サッカーのお祭りってじっちゃんが言ってたけど、そういえば見たことねえな。
と思っていた時、才蔵が見せてくれたのが、ついこの間のワールドカップのビデオだった。

さすがサッカーのお祭りなだけあるぜ!
出てる選手みんなめちゃくちゃサッカーが上手え!
俺は無我夢中で、何回もビデオを繰り返し見た。

そんな中で、俺が特別に「上手え!」と思った選手が、一人いた。
日本代表の背番号七番を背負って立つその選手は、ゲームメイクも上手いし、得点力もあったし、アシストだって上手かった。

もう何やっても全部上手い!
すっかり俺はその選手がお気に入りになっていた。
そんな俺に、才蔵が言った。

「ひでまるは、ヒデが好きなのか」
「ヒデ?」

首を傾げる俺に、才蔵は「その選手の名前だよ」と教えてくれた。

「中田英寿選手、通称、ヒデ」

その名前を聞いた瞬間、俺は全身が震え立つのを感じた。

「ヒデ……! 俺とおんなじ名前だ!」

そうして改めて見るビデオの中のヒデは、ただのすごい選手ってだけじゃなく、親近感のようなものを感じて、ピカピカ光って見えた。
おんなじ七番だし、おんなじトップ下だし、名前までおんなじ。
ヒデみたいにかっこいいサッカー選手になって、ワールドカップで活躍したい!
俺はヒデに、未来の俺を重ねて見るようになった。

そんなヒデと、まさかこうやって話すことができるなんて。

「俺、絶対ヒデみたいな世界的な選手になって、ワールドカップで活躍する!」

真っ直ぐヒデを見上げて言うと、ヒデは笑って頭を撫でてくれた。
「必ず叶うよ」と言ってくれた気がして、俺は嬉しくて尻尾を振るのだった。