キラキラ

多分、俺には眩しすぎたんだと思う。
FCラーメンのユニフォームを脱ぎ捨てた理由を端的に説明しろ、と言われれば、俺はそう答える。

才蔵とは同い年で、サッカーを始める前からの付き合いがあった。サッカーを始めたのも才蔵の誘いがあったからだった。親友の才蔵となら何だって楽しいと信じていた。

だが、才蔵と俺では決定的な差があった。人は多分それを『才能』と言うんだろう。
ゴールキーパーとして天才的な素質があった才蔵は、あっという間に県下ナンバーワンの称号を手に入れた。
対する俺はいつまで経っても平凡で、俺と才蔵では見ている景色がまるで違っていた。
弱小チームの中でも勝利を目指して邁進する才蔵の姿勢が、俺には煩わしかった。

言いたいことを言ってFCラーメンを去ったその瞬間だけは清々しい気持ちだった。もう俺はサッカーなんかに苛まされずに済むんだと思った。
けど、その気持ちは長続きしなかった。襲ってきたのは激しい後悔だった。

今更どんな顔をして謝ればいい。
そう思いながら向かったグラウンドで、たった二人で十一人に立ち向かう才蔵とひでまるを見た時、俺はようやく目が覚めたような気がした。

才蔵が変わったんじゃない。捻くれて斜に構えていたのは俺だ。
才蔵は、一緒にサッカーを始めたあの日から、全く変わっていない。

才蔵は相変わらず眩しかった。いや、さらに眩しさを増していた。けれど俺は、もうそんな才蔵を煩わしくなんて思わなかった。
あの日一緒にサッカーを始めた時のように、一緒に走ってボールを追いかけたい。
そう思ったから、俺は再びFCラーメンのユニフォームに袖を通した。身勝手極まりない俺を、才蔵は笑って許してくれた。

県選抜の結果は、当然のように今年も正ゴールキーパーに選ばれた才蔵に対して、俺は控え選手にも選ばれなかった。

「惜しかったな、メンマ」

ひでまるが声をかけてくる。俺は笑って「ああ、悔しい」と言った。
そうして選抜メンバーに選ばれた面々の顔を見る。

「悔しいけど、お前らの活躍を楽しみにしてるからな」

一人一人と目を合わせてそう言う。もちろん、才蔵ともしっかりと目を合わせた。
才蔵が頷いて、拳を差し出してくる。

「お前の分まで、戦ってくるぜ」

その言葉に俺もまた頷いて、差し出された拳に拳を突き合わせた。