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鷹司家に夢を見ている自覚はあります
鷹司家と言うか、【名門・鷹司家】出身の、鷹司由という芸人に
鷹司由というキャラクターを表現するうえで、意識していることわざがあります
『鷹は飢えても穂を摘まず』
『伏すこと久しきは、飛ぶこと必ず高し』
原作で、芸歴13年目の33歳だったにも拘らず、本人曰く「崖っぷち」だったわけですが、
それでもずっと真面目に真摯にやってきて全漫優勝を掴むところが本当にわたしは好きで
なので二次創作をする上で一番気を付けて居ることは、どれだけ由を誇り高い猛禽類として描けるか。だったりします
それと、原作でチラッと描写があっただけではあるのですが、
家族仲が良さそうなところも好きなんですよね
忙しい中でも家族と連絡を取り合っているところも好きだし、
自分は可愛いものに興味がないと言いながら、鉢塚が使っていたシャーペンを見て、妹が好きなキャラクターやなって即座に思い至るところがもう本当に好きで
なので、そんな家族のために何かをする由を、書いてみたかった
この話には元ネタがありまして。2年ほど前にSNSで見た話題なんですが、
「せっかくの結婚式を来賓がスピーチでぶち壊しにして、招待客がみんな辟易した
感想を聞いてもみんなあのスピーチの印象しか言わない
人生に一度の大事な日を台無しにされて悔しい」
と、そんな感じのことがタイムラインに流れてきました
それを読んで本当に胸が痛くなりました
しかし同時に、その最悪なスピーチを払拭する何かが有ったら良かったのに、とも思ったんです
花嫁に対する罵詈雑言と、自分の業績アピールを、定められた時間を無視して喋り倒した最悪の男を、『毒』と『狂気』が代名詞の表面張力が、漫才で扱き下ろす
そんな光景が目の前に広がったのでした
いつ終わるともわからない長い長いスピーチを聞き流しながら、
もともと披露する予定だったネタにアドリブを加えて鼻っ柱をへし折る計画を思いつき、
本番一発勝負で成功させてたら、めっちゃ好きだな……
そんな妄想から生まれたのが、この話でした
と言いつつ、実際書くとなると問題が山積みで
まず、由の弟と妹の名前と容姿が、公式で全く判明していない!!
原作では子供を授かっている二人が、いつ結婚したのかも分からない!!
というかわたしがそもそも【鷹司】という名前だけで由を名門出身扱いにしてしまってる!!
何を書いても捏造塗れになってしまう!!
……ここで自分が二次創作をするときの話をするのですが、
自分では、自分のことを『拡張型作家』だと思ってるんですよね
ここまで読んでいただいた時点で、なんとなくピンときたかたがいらっしゃったら嬉しいんですが、
原作に描かれていた僅かな情報を拾い集めてつなぎ合わせて感触を確かめる作業が、わたしはすごく大好きで
今回で言うところだと、由はおそらく兄妹仲が良い描写がある⇒弟妹との話を書きたい、が出発点なわけですが、
一方で、鷹司一族に関する設定はほぼ丸ごとこの話のために捏造しています
由が名門・鷹司家の分家の出であるとか、芸人であるが故に一族から冷遇されているなんて描写は、原作に皆無です
それでも原作を読んで由に感じていた『鷹は飢えても穂を摘まず』『伏すこと久しきは飛ぶこと必ず高し』は、自分の中で紛れもない本物です
そして由に対して抱く確信に近いその印象は、紛れもなく久我有加先生が原作【片恋の病】で描かれていたことから受け取った物です
それさえブレなければ、わたしは二次創作者として鷹司由を描ける、由の誇り高さを伝えていける
そんな風に思います
……まあ、大層なことを言っていますが
要は、自分が二次創作をする理由と原動力は、シンプルに原作が好きだからなんですよね
些細なことでも必ず礼を述べてくれる由が好き、とは、深野も原作の初回ペーパーで言ってますし
その育ちの良さや面倒見の良さを、鷹司という生家が育んでくれたのだろうなと
それが結果的に、例え飢えても穂を摘まない、じっと力をためて飛翔の機会を待っている鷹の、誇り高さとして表れているのだなと
で、その由を誰より近くで見ていた深野が、そのまま丸ごと肯定してくれているのが、本当に好きなんですよね
コンビについてのことはここで語ると長くなるので今回は割愛しますが、
この話で視点を深野に定めたのは、それが一番由を誇り高き猛禽類として描けると思ったからです
誇り高いけど不安定で、品行方正であるが故に慎重すぎるそんな由を、比翼の片割れとして
比翼の鳥、については有名だと思うので、ここではあえて解説しませんが、タイトルについて
カードワースシナリオで『鳥』がモチーフのシナリオに、冒険者を鳥に例え、その鳥に「○○よ」と呼びかけるものが有ります
それがすごく印象的で、その印象をなぞるような形でパッと閃いたのがこのタイトルです
愚かで愛しい二人が、原作で深野が評していたように、相方であり恋人であり親友であり家族であると表現したくて、こういう形になりました
そして二人が比翼の鷹であることを、本人たちだけではなくて周囲にも公認してほしくて、ラストシーンで深野を家族写真に迎え入れる形になりました
あと言っておくべきは、時系列についてかな
この話は【片恋の病】本編の約6年前、表面張力が初のレギュラー番組『みずたま気分』を獲得する前という想定で書いています
丁度深野はこの直前に朝子さんと離婚していて、お笑いもまだまだ冬の時代を抜けきらない、表面張力にとっては本当に苦しかった時期
そこを乗り切るのに、こういう出来事が有ったのではないか。ここで腹を括ったからこそ後に冠番組『表面張力のへ理屈』を獲得し、全漫優勝が有ったのではないか
そうだったらいいなあと、一ファンとしての妄想に過ぎないですが、そんな風に考えました
なのでこの時点で深野は微塵にも由の片思いに気付いていないわけですが、
それでもずっと結成当初から表面張力の漫才が変わらなかったのは、深野の由に対する気持ちがずっと特別だったという証左で、
由さえ居れば、由と漫才さえできれば、あとはどんな状況になっても生きていける
そんなことを恥ずかしげもなく、嘘偽りない本心から思っている深野だからこそ、共に地に落ちる覚悟が出来るのだなあと思います
さて、そろそろいい加減キリが無くなってきて、このままだとわたしもあのハゲタカと遜色なくなりそうなので、この辺りで
最後に、表面張力が披露した漫才の原案をここに置いて、締めとさせていただきます
***
『この新婦は我が一族の中でも実に賤しく、よくもまあ嫁の貰い手があったもんだと。いやはや、これで苗字が変わって精々します』
「……て言うてましたけど、俺はそれ聞いててこう思いましたね
『黙れ禿鷹!!お前の食事風景の方が百万倍卑しいわ!!』て」
「由。それは流石に失礼やろ、ハゲタカに」
「そうか?」
「そうや。まあ比喩としては間違うて無いわな
……経営されてるファンドのあのやり方、皆さん、あれを金融業界では『ハゲタカ』言うんですよ
ついでに言わしてもらうと、ハゲタカ言う鳥は実在してません」
「マジか」
「なんでおまえが驚いてんねん。マジや」
「ほなあそこにおるあれは、なんなんや?」
「知らん。鷹のなりそこ無いやろ。つるっぱげの」
「お前こそ言いすぎやろ!!
……ああそう。申し遅れました……鷹司由て言います。
そこに座ってる新婦の、実の兄です。
で、こっちは相方の」
「深野大基ですーよろしくお願いしまーす」
「ま、前置きはこの辺にして、そろそろネタに移りますかね」
「そやな。誰かさんが散々騒音撒き散らした後やから、時間全然足りへんのやけど」
「……俺ら、全然売れてへんけど、プロなんで。定められた時間きっちり守って上手に囀りますよ。
ハゲタカと違て、本物のタカなんで、ね」


