色について

有難いことに、屯倉 鹿乃の絵は『色が綺麗』とたくさん褒めていただけるのですが、
自分が何を考えてどう色選びをしてるか、という話をしようとすると、主観に寄りすぎてしまうので、あんまり他の人の参考にならない気がしていて

なので、
「こういうのが好きだから色彩に影響しているのかも」
という話をしたいと思います

需要が有ったらいいな

【好きなもの】
はらぺこあおむし、ワダサチコ先生が描かれたファイアーエムブレム聖魔の光石の公式絵、印象派、アールヌーヴォー、浮世絵、レンブラント、琳派

レンブラントだけちょっと異質な気がしますが、共通点は「色相を絞りつつ、一色で塗らない」こと

はらぺこあおむしが恐らく一番わかりやすいと思うのですが、
誰が見ても「体が緑で顔が赤」という特徴がありつつ、その「緑」の中にいろんな緑がある。これが子供の頃からめちゃくちゃ好きです

 

【好きな色の概念】
色相対比(とくに補色対比)、色相環、空気遠近法、反射光

わたしの絵、よく見るとほとんど明度対比や彩度対比は使ってないんですよね
というのも、自分が好きな花の写真をモノクロにした時に、花や実の色と葉っぱの色がほぼ同じ明度彩度になるものがめちゃくちゃ多かったんですよ。南天の実とか金木犀とか……

「明度彩度の差は抑えつつ、色相だけで陰影表現をする」
これが屯倉 鹿乃の絵の一番の特徴かもしれません

それを可能にしているのが空気遠近法的な配色。遠くのものは青みを帯びて彩度が低くなるという法則
加えて、太陽光はうっすら黄色いので、晴れた屋外の影はその補色である青紫の色を帯びます
なのでわたしは、影色を青紫色で塗ることが多いです

加えて、色相環をモノクロで見た時、一番明るい色は黄色、一番暗い色は青紫になりますね
それをそのまま陰影表現に当てはめています

……と、いろいろ言いつつ、一番最初の出発点は、
「肌色の陰影を青紫で入れたらなんかめっちゃ透けるような綺麗な肌が描けた!」
だったりします

 

【好きな画材・技法】
コピック、透明水彩、色鉛筆、染織

共通点は「透明色を重ねていく」ということ。実はここでも色相環がめちゃめちゃ影響していて

色鉛筆が一番わかりやすいかな。わたしが色鉛筆をよく使っていたのは小学生の頃です
当時握力があまりなかったわたしは、『濃いピンク』を表現するのに、ピンクの色鉛筆をぐりぐり塗り潰すという行為があまりにも非現実でした
かと言って黒を重ねてはせっかくのピンクが濁ってしまう

そこで、「ピンクの濃い色は赤やろ!?」と、ピンクの上に赤を重ね塗りする、と言うことをやっていました
同様に、黄色を濃くしたい場合はオレンジ、水色を濃くしたい場合は青を使っていました

この感覚が今でもかなり有ります
つまり、「今より濃い色を塗りたいな」となった時、わたしは『色相環を最初に触る癖』が有ります
色相環をまず触って、触った後で明度と彩度をちょっと下げる(もしくはまったく下げない)という感じ
透明水彩の時もそうですね。「色を濃くしたいな」と思ったら、絵の具を濃くするのではなく、違う色を混ぜる
コピックでも、一番最後の番号(明度)だけを触るのではなく、その前の数字やアルファベットから変えていきます

そしてこの集大成が、染織という技法になります

染織について語るとめちゃくちゃ大変だし難しいので、今回は割愛しますが……
平たく言うと、わたしはこれで色相対比と色相グラデーションを極めました。元々大好きだったし興味もある分野だったけど、本当に学んでよかったと思っています
原理としては色版画が一番近いかも。浮世絵が好きなのもさもありなんって感じ

 

【その他好きなもの】
分離色、カラー印刷、パーソナルカラー

ボールペンの黒インクは一色でできているわけではなく、いろんな色が混じっている、というあれですね
黒インクを例に出しましたが、これは他の色にも言えます。「この色は何と何でできている色なんだろう?」と。これは染織を学んだことでより一層考えるようになりました

カラー印刷の工程を見るのも大好きです。CMYK(今はもっとあるらしい)のそれぞれの単色版がまじりあうことでフルカラーになる。これも「この色はどの版とどの版がどう組み合わさっているのか」と考える、分離色的な発想ですよね

それとはまた別軸で、パーソナルカラーの理解もかなり影響があると感じています
これもまた染織に通ずる話で、イエローベース・ブルーベースは単なる色相環の暖色・寒色ではなく、『オーバーレイレイヤーで黄色を乗せるか青を乗せるか』もしくは『緯糸(もしくは地染め)を黄色にするか青にするか』の話なので……

この辺も分かりやすくいつか説明できると良いなと思うのですが、
とりあえず簡単に言うと「ブルベの黄色も有るしイエベの青もあるよ!」という話です

 

【終わりに】
実は版権キャラを描く時に、『原作の色をスポイトツールで拾って塗る』と言うことは、一切したことが有りません
コピックで色を塗る時も、「このキャラの色はコピックの○○番!」って覚えかたは、やったことがない
何なら自キャラの色についても、ざっくり「金髪碧眼~」「黒髪赤目~」ぐらいの概念でしか考えたことがないです

なぜって、色は環境によって、同じ色でも全く違った色味に見えるのが当たり前なので

なので実はProcreateでは固定のパレットすら持っていません
代わりに「良いな」と思った色を、配色見本のごとくスウォッチに保存しています
色単体を保管するのではなく、「この色とこの色の組み合わせ、良いな」と思ったら、セットで保存して行く
そして色を塗るときは、そのセットでなにかに使えないかと考えている
……そんな気がします。多分。実際塗る時に結局色相環触って微調整しながら配色してるからわからん!!

あと、わたしの場合、最初から完璧に色を置こうとしていないというのも大きいと思います
いろいろ触ってるうちにそれっぽい色になったらそれで良いよね、って感じ

結局色を塗るのが楽しいから、いろんなことを試せるのでしょうね。多分ね!!