◆一次創作
そうだ、たとえ月夜でなくとも歩いて行ける。
オルゴール
祖母の笑顔を思い出しながら、陽介は発条を巻き上げた。古びたオルゴールはところどころ針が欠けているらしく、時々鳴らない音がある。
うつろい
人も季節も建物も、流れに流されるものなんだな。寂れた無人の教会を見上げながら、アッシュはただそう思った。
樹洞
電気羊の夢じゃなかったのは確かだから、あの有名な問いかけへの返答はノーになるけれど、アンドロイドだって夢は見る。
ふわふわ
なんとも不明瞭な事件だ。ふわふわとして掴みどころのない、それこそ霧の中を歩いているのではないかと錯覚しそうだ。
栞
「記憶に栞を挟めたらいいのにな」
誰かさん
「誰でもいいから付き合いたい、って言うのがよくないんじゃん」
一つ星
ある国に、それは美しい黄金色の瞳をした騎士がいました。
幸運
なんでこないなことになってんや。恨めしい気持ちで緑の絨毯に眼を凝らす。
秋は夕暮れ
空を赤く染め上げて、鳥の群れを従えて、山々の向こうに落ちてゆく様を、目に焼き付ける。それはまさに壮大な死だった。
双子
「仕方ないでしょう」「所詮は都市伝説だからな」
チェス
──ワインチェス。相手の駒を取るたび、杯を重ねる遊戯。
